今回作ったキャビネットは、生地の柄を生かしたかったので引き出しではなく扉で開閉するデザインにしました。
扉も布の蝶番で本体と繋ぐのではなく金具の蝶番を正面付けで取り付けることにしました。
古い家具でも用いられている方法です。
蝶番のサイズから、キャビネットの左右の側面のカルトンは1cm以上の厚みが必要だったので余裕を持たせて3mmカルトンの5枚重ねー1.5cmの厚みにしました。
蝶番もアンティークな雰囲気で梅の花の形の職人さん手作りのものを入手。雰囲気にぴったりのものが見つかって嬉しかったです♡
ただこの蝶番は真鍮製で元は真鍮の黄銅色だったのを黒く塗装しています。
繊細な彫の模様が塗料で埋まらないように極薄のスプレー塗装を数度繰り返しました。
扉のツマミはもとから黒い鋳物で、小ぶりながら重みのある重厚な作りのものです。これもとことん理想のものを探しました。
金具類を黒にすることで扉に貼った無地場の多い織り地の柄を引き立てる効果があります。
ポイントに、黄色の小ぶりなシルクのタッセルをツマミに付けています。
今回は「部屋の一角に設えるオリエンタルなディスプレイコーナー」をコンセプトにしたデザインなので、トレイ仕立ての天板には展示に際してお香立てを置くことを念頭に置いてそれを乗せる台と、愛用のお香を入れる箱を作りました。
生地もお揃いで。
お香立てを置く台は正十二角形。脚も正十二角形です。
一角の角度が広く、六角形や八角形に比べて円形に近い丸みのある印象です。
その分、角があまり丸くなり過ぎないようにある程度シャープさを出すよう心掛けました。
黒の土台と山吹色のフレームがぴったりと合うようにするのもなかなか大変でしたがとても素敵な形になりました。
脚の土台の十二角形の面は一枚一枚ケント紙に生地を貼ったパーツを貼っているのでまるで襞を寄せたようになりました。
愛用のお香を入れる箱は既存のものと同じデザインにしました。
日本や中国に昔からあるデザインの箱です。
黒のサテン地を貼った後に織り地の模様をアップリケのように切り取って上から貼りました。思ったよりお互いによく馴染んで良かったです。
留め具は平紐と笹爪で。
平紐も専門店から光沢のある、色と質感の良いものを取り寄せました。
もう本体は仕上がっている段階での小物作りなのでこれらは余裕を以て楽しんで作ることができました。
振り返ると本当に様々な危機的局面も迎えつつ何とかそれも切り抜けて無事作品を完成することができホッとしております。
コロナ禍があっての久しぶりの作品を展示する機会でしたので作品を製作する時間もとても楽しい時間でした。
この機会を作って下さったビジャー香代子先生に感謝の気持ちでいっぱいですし、今回参加された先生方ともご一緒することができて幸せでした。
この場を借りて御礼申し上げます。
いつも作品展に参加して思うこと・・カルトナージュって素晴らしい!
記事をお読み頂き有難うございました。
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